作品解説

かたばみ抄

サンコミックス/朝日ソノラマ
初版=昭和57年6月

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書影

収録作品

解説

病に伏し、死を覚悟した父。その死を淡々と見送る母……。かたばみ模様の着物に秘められた夫と妻の絆を描く名編である表題作、夢の中である男を車ではねたためにその〈婚約者〉から復讐を受ける話「悪夢症候群」、僕の知るあすな作品の中で最も美しい作品だと思う「懐かしいうた」、「青狼記」の物語の顛末を追う「夏草」、横暴な兄と弟の確執を通して硝子のような少年の心理を描く「六頭の白い馬」、過ぎ去った時間への永遠の鎮魂「詩が聞こえる」……

収録作が雑誌に掲載されたのは、本格的な作品の発表本数が徐々に落ちていく時期にあたるが、どの作品を見ても、あすなひろしの感受性とリリシズムは少しも衰えていない。それどころか更に繊細さを増している。

珠玉、という言葉を心から贈りたい、みずみずしくも哀しい作品集。

(はまっちさん)

(テキストは募集しております。メールなどでお申し出下さい)

(たかはし@梅丘)

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