作品解説

西部の唄 −ジュニアの絵本

(COM 1969年8-9月号)

hr_image
扉絵

イメージをクリックすると別ウィンドウで拡大画像(JPEG 568×770 67Kb)を表示します。

見開きページ

イメージをクリックすると別ウィンドウで拡大画像(JPEG 880×700 112Kb)を表示します。

解説

アメリカのフォークソング(C&W?)をモチィーフにした詩画集。2回に分けて掲載された作品だが手元に8月号だけが有るので紹介する。

  • 淋しい草原に埋めてくれるな
  • 野鴨の叫び
  • ラレドの通り
  • 500マイルもはなれて

以上4曲の歌詞をあすな氏自身が訳し、画を添えている。どうも、そっち方面は疎いので(詳しい方、教えてください)原曲を知っているのは500マイルくらいであるが、勇壮な歌(たとえばローハイドとか黄色いリボンとか)ではなく、哀愁に満ちた詩ばかり選んでいるのが「あすなひろししてる」のである。

絵は輪郭も含め細く精緻な線が多用されている。これ以前の絵は輪郭線はもう少し太かったように思うが?どうだろう。

立体感を強調した構図にもかかわらず、より平面的な印象を与える。当時の絵のうまいマンガ家達はリアルな立体感を求め、いわゆる劇画風の絵に走っていった中で様式的な線の美しさを追求していたことがよく解る。発表の場がCOMと言う当時としてはマニアックな雑誌なので他のマンガ家たちを意識したのかもしれない。そして初期の水野英子の影響が強い絵から脱却して「あすなひろしの絵」に変わっていく過渡期だったのだろうか。その後積極的にマンガを見なくなったこともあり、数年後に「青い空を…」を見たとき随分と絵が変わっているのに驚いた記憶がある。

8ページの内、始めの1ページはトビラで、氏自身による前文が書かれている。

これだけで一編の詩である。

続く3篇は見開きで、最後はまた1ページという構成である。始めの3ページはモノクロながらオフセットである。カラーならさぞ綺麗だったろう。

(秋津まさみ)

取り上げられてる曲について

私もぜんぜん詳しくないのですが、ネットで調べてみました。もっと詳しい方がいらっしゃいましたらご教授ください。

  • 「淋しい草原に埋めてくれるな」は映画「駅馬車」の主題歌。元々イギリスの船乗りの歌「淋しい海原に葬ってくれるな」であったが、開拓時代にカウボーイの歌となった。
  • 「野鴨の叫び」は映画「駅馬車」のサントラのB面(だったらしい)。
  • 「ラレドの通り」は別名「カウボーイの子守歌」。西部劇映画「三人の名付け親」で印象的に使われていたが、「テキサス決死隊」のテーマとしても知られている。
  • 「500マイルもはなれて」はピーター、ポール アンド マリー(500 Miles/PPM) みたいです。

(たかはし@梅丘)

hr_image